ライブ出演が決まった時、演奏の他に、ぜひ練習したいものがあります。
「ステージパフォーマンス」です。
ライブは、お客様に、演奏の音を聴かせるだけのものではありません。
ステージ上の表現全体を見せるものです。
ステージ上の表現を魅力的にするために、ステージパフォーマンスはとても重要です。
ライブの盛り上がりが全く違ってきます。
この記事では、初心者向けのライブステージパフォーマンスをご紹介します。
ステージパフォーマンスというと、激しいものを想像してしまうかもしれませんが、どうぞご心配なく。
ここでご紹介するものは、どれも簡単に挑戦できる、基本のものばかりです。
また、ライブの予定がない場合でも、身につけておくと便利なものです。
どちらかというと「控えめ」ですが、やることにより、確実に見た目のかっこよさをアップさせることができます。
- バンドでライブに出たい方
- ライブに出なくても、ギターを弾く姿をかっこよく見せたい方
に読んでいただけるとうれしいです。
なお、ステージで演奏するには、ほとんどの場合、ギターを「立って」弾く必要があります。
ギターを立って弾くことに関しては、こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。
初心者ギタリストがステージで気を付けること2つ
ステージに立つうえで、これだけは避けたい、ということが2つあります。
- ×ずっと下を向いていること
- ×ずっと動かないこと
逆に、このふたつを避けるだけで、かなりかっこよくなります。
では、これから、初心者の方におすすめのライブステージパフォーマンスを10個、具体的にご紹介します。
どれも無理なく挑戦できるものですので、ぜひ試してみてください。
初心者ギタリストにおすすめライブステージパフォーマンス
パフォーマンス1:顔を上げる
「顔を上げる」、つまり、下を見ないで、しっかり前を見るということです。
これは、日常生活で当たり前にやっているので、ギターを弾いている時も当然やっているつもりになっています。
しかし、ちゃんと意識しないと、意外とできていないものです。
私は初めてステージでギターを弾いた時、自分では、普通にまっすぐ立って、前を見ているつもりでした。
客席も見えていたし、下を向いているなんて少しも思いませんでした。
でも、後でビデオを見てショック!
ずっと下を向いていたのです。
一生懸命手元を見ていて、「慣れない初心者丸出し」という感じでした。
考えてみれば、視野もありますし、更にステージは少し高いので、下を向いていても客席は見えます。
自分から客席が見えているというだけではだめなんですね。
「いちばん後ろの人をこっちから眺めるくらい」でないと、顔を上げているようには見えないようです。
なお、「顔を上げる」といっても、ずっと前を向き続けなければいけないということではありません(逆に怖いです)。
演奏のためにちらちら下は見るけれど、「手元を見なくていい時は、顔をしっかり上げて、客席を眺める」くらいがいい感じです。
これだけで、かなりかっこよくなります。
パフォーマンス2:背筋を伸ばす
ギターの初心者でもベテランでも、姿勢がいいとかっこいいです。
初心者は、背中を丸めて下を向きがちです。
余裕がなく、頼りない印象になります。
演奏のために手元を見る時、首を下げてのぞきこむようにしてしまうと、とたんに背中が丸まって、かっこ悪くなります。
手元を見たい時は、「背筋を伸ばしたまま、目だけでチラッと確認する」と、よい姿勢を保てて、かっこいいです。
「チラッ」だけでは難しいという場合は、右足のかかとをちょっと上げて、ももにギターを乗せると、背筋を伸ばしたままで、手元もよく見えるという状態をキープできます。
とにかく何が何でも「背筋」が大事です。
「背筋を伸ばす」ということを意識しましょう。
これも、先ほどの「顔を上げる」と同様、「背筋を伸ばしたつもり」だけではできていないことが多いです。
まっすぐ立っているつもりでも、背中が丸まっていることはよくあります。
ギターを弾く姿を、大きな鏡で確認してみましょう。
ステージ上では、背筋を思い切り伸ばして「どうだ!」というくらい堂々としていると、立っているだけでもかっこよく見えます。
先ほどの「顔を上げる」と合わせて、「仁王立ち」くらいの気分でいるとちょうどいいです。
「こっちから客席を見るぞ!」という感じです。
パフォーマンス3:笑顔
せっかく顔を上げても、無表情、または緊張でガチガチの顔だったら、見ている方はあまり楽しくありません。
「笑顔」で演奏すると、楽しそうに見えます。
余裕も感じられて、かっこいいです。
笑顔は、自分自身やメンバーの緊張をほぐす役割もあるので、一石二鳥です。
もちろん、ずっと笑い続けていなくてもいいです。
「時々客席に笑顔を送る」、「メンバー同士でニコッとする(アイコンタクト)」などで、いい雰囲気を出せます。
なお、「笑顔」だけでなく、他の表情も使えると、更に素敵です。
上級者は「顔で弾く」といって、ものすごく感情を込めたような独特の表情でソロを弾いたりします。
かっこいいし、盛り上がります。
できそうな方は、ぜひ挑戦してみてください(私はまだできませんが)。
初心者でもベテランでも、ステージに立つ以上、表現者です。
できるだけ表情豊かにいきたいものです。
ただ、ひとつだけ注意点があります。
表情豊かといっても、演奏をミスした時は、絶対顔に出さないでください。
何もなかったように、弾き通してください。
顔に出すと、自分が引きずったり、盛り上がりの勢いが衰えたりします。
演奏ミスは、意外とバレないです。
お客様は、演奏の細かいところまでわかりません。
たとえバレたとしても堂々としていればいいのです。
そのためにも、笑顔は便利です。
パフォーマンス4:ノリノリでギターを弾く
軽く音楽に乗っている感じで演奏できれば、すごくかっこいいです。
体でリズムを取る感じです。
例えば、「ウンウンとうなずく」、「膝を軽く曲げてリズムを取る」、「左足のかかとをついたままつま先だけ上下してリズムを取る」、逆に「つま先をついたままかかとを上下してリズムを取る」などなど。
曲に合わせて動きを変えたり、複数の動きを併用したりすると、更に乗っているように見えます。
ところで、音楽に乗ることに限らず、ステージ上での動きは、かなり大きくやらないと、見ている方に伝わらないことがほとんどです。
ちょっと動いたくらいでは、止まっているのとほぼ同じに見えます。
以前、私は、ライブでギターを演奏した時、かなりノリノリで弾いていたつもりでした。
当時はダンスを習っていたこともあり、「動きは大きく」ということも理解していました。
でも、後でビデオを見てびっくり!
動きがとってもささやかなのです。
ノリノリどころか、まるで、「赤ちゃんを抱っこして、ゆらゆらとやさしく寝かしつけている女性」みたいな感じでした(笑)。
ステージ上では、大げさに動くくらいがちょうどいいんですね。
それ以来、動きをもうひとつ大きくしました。
客席に伝わるくらいノリノリで弾くのは難しいかもしれませんが、ちょっとのノリノリでも、ないよりはずいぶんかっこよくなります。
何より、ノリノリで弾けるととても楽しいので、ぜひふだんから練習してみてください。
パフォーマンス5:「ジャーン」と弾く時大きめのストローク
8ビートなどでコードを弾くとき、ストロークが大きいと、ダイナミックに見えます。
1~6弦の範囲をはみ出して、右手を大きく動かしている感じです。
ただ、これをやることにより、ぎこちなくなったり、リズムが崩れたりしたら逆効果なので、初心者の方には、連続ではなく「ジャーン」の時をおすすめします。
つまり、コードを「ジャーン」と弾く場面があったら、鳴らすとき、右手を大振りします。
弦を通り過ぎた後、そのまま勢いで腕を前方に伸ばす感じです。
大きい動きはステージを華やかにします。
パフォーマンス6:ギターのネックを上げる、下ろす
曲に合わせて、ギターのネックを上げたり、または下ろしたりするのは、ギタリストらしいパフォーマンスです。
よくあるのは、曲終わりにみんなでジャカジャカジャカ…とやって、最後にジャン!と決めるタイミングで、ネックを下ろす動きです。
バンドで一体感が生まれ、かっこいいです。
その際、ギターを剣道の竹刀のように振り下ろすのではなく、「普通にギターを持ったまま、左足を踏み込んで、体をななめ左方向に少し低くする」と、無理なく自然にネックが下がります。
また、立ったまま(両足の間隔は広め)、「イヤイヤ」みたいな感じで体を左右に振る(左を向くとき体を低めにする)と、自然にネックの上下が現れるので、その動きが似合うフレーズがあったら使えます。
このように、ネックの上下は、腕の力でやるのではなく、体全体でやるのが安全です。
それでも、小さい方は振り回されるかもしれないので、しっかり練習しておきましょう。
パフォーマンス7:手を挙げる
手を挙げる動作は、客席からもわかりやすいのでおすすめです。
とはいえ、これも普通に手を挙げるだけでは中途半端です。
「授業中に手を挙げているけれど当てられたくない人」くらいにしか見えません。
しっかりと肩から動かすようにします。
左手はネックを支えているので、右手を挙げるほうが簡単です。
手を挙げる動作には、「人差し指を立てる」「こぶしを突き上げる」「両手で頭の上でクラップ」「手を振る」など、いろいろなやり方があります。
曲の中で、手を挙げられるタイミングがないか、探してみましょう。
他の楽器のソロ中など、自分が演奏しなくてもいい時がおすすめです。
私はライブで、長めのドラムソロの時、リズムに合わせてこぶしを突き上げるパフォーマンスをしていました。
バンドの1曲目のイントロということもあり、さあ、これから盛り上がっていこう!という時にピッタリでした。
しかし、後でビデオを見たら、ドラムにしか照明が当たっていなくて、自分の所は真っ暗。
残念ながら、何をやっているかわかりませんでした。
まあ、こういうこともありますよね(笑)。
パフォーマンスとしては悪くなかったと思います。
「手を挙げる」というのは動作としては簡単ですが、ギターから手を離すことになるので、意外と手ごわいです。
ちゃんと戻って普通に弾けるように、やはり練習が必要です。
もし、曲の中で手を挙げるタイミングが見つからない場合は、MCやメンバー紹介の時にやってみましょう。
活き活きとした感じになります。
パフォーマンス8:時々横を向く、後ろを向く
ユーチューブでいろんなバンドの演奏を見ていたら、その場で時々横を向いたり、後ろを向いたりするギタリストがいました。
移動せず、ちょっと向きを変えるだけなのに、すごく変化が感じられました。
これは、そこまで難しいわけではないので、お得なパフォーマンスです。
ただし、ずっと横や後ろを向きっぱなしというのはさすがに変なので、基本正面で、時々向きを変える程度にします。
「時々他のメンバーの方を向いて、笑顔でアイコンタクト」、「他のメンバーがソロの時、体ごとそっちを見る」など、かっこいいです。
ところで、以前「ギタリストは弾いている手元を客席に見せたほうがいい」というのをどこかで読んだことがありました。
あるライブで私はそれを実行しようと思い、ずっと客席に手元を見せる角度で立っていました。
ステージの上手(客席から見て右側)にいたので、弾いている右手を客席に見せる向き、つまり、ステージの端側、バンドメンバーがいない方向を向いて立っていたのです。
失敗でした。
ビデオで確認したら、私ひとりだけずっと外側を向いていて、「反発している人」みたいな感じでした(笑)。
無理に手元を見せるよりも、体は正面か中心の方を向いているほうが、「演奏全体をお客様に見せている」、「仲間と演奏している」雰囲気が出て、素敵です。
そして、時々横を向いたり後ろを向いたりの変化を加えると、なおいいですね。
パフォーマンス9:ギターソロの時に1歩前に出る
「ギターソロの時に1歩前に出る」のは、よく見られるパフォーマンスです。
かっこいいです。
「おーっ!!」となり、注目を集めます。
この「1歩前に出る」動きは、客席からもわかりやすいです。
体ごとの移動は目立ちます。
でも、1歩前に出るだけなのに、慣れないとなかなか難しいです。
特にギターソロで音を変える場合は、エフェクターを踏んでから前に出て、ソロを弾き、後ろに下がってまたエフェクターを踏む、ということをやったりします。
この一連の動きをやるには、練習が必要です。
でも、1歩前に出るだけで確実に盛り上がるので、ぜひやりたいですね。
できれば、ギターソロのすぐ次の演奏はお休み、または超シンプルにしておくとやりやすいです。
パフォーマンス10:他のメンバーと集まって演奏する
間奏の時など、ボーカリストやベーシスト、他のギタリストと集まって弾くと、すごくかっこいいです。
先ほどの「1歩前に出る」の応用編です。
数歩歩くことになります。
例えば、「ボーカリストと背中合わせに立って演奏する」、「他のギタリストと並んで演奏する」、などなど。
フォーメーションが変わり、ステージ上にかなり大きな変化をもたらします。
お客様を退屈させません。
私はライブで、ある曲の間奏の時、もう一人のギタリストとベーシストのいる方に歩いていき、3人で向き合うようにして演奏しました。
これはとても評判が良く、写真もたくさん撮られていました(数少ない成功例!)。
歩きながらギターを弾くのは、ほんの数歩だとしても、慣れないとできないので、普段から練習しておきます。
また、本番のステージ上の床には、いろんなコード類がはっているので、歩くときは注意が必要です。
ステージ上で機材をセットした後、自分はどこまで移動できるのか、どこを通ったら安全に歩けるのかを、確認しておきます。
以上、初心者におすすめの「ライブステージパフォーマンス」10個でした。
おまけ:ワイヤレスシステムで自由に動き回る
私はワイヤレスシステムを使うようになってから、ますます自由に動き回れるようになりました。
くるくる回ってもシールドに絡まらない!
他のメンバーの所には気軽に絡みに行ける!
私が使っているのは、BOSS WL-50というものです(写真は本体の箱と一緒に買ったアダプターとケーブル)。
上でご紹介した10個のパフォーマンスは、もちろんシールドにつながっていても問題なくできます。
でももっと身軽に!と思う方は、チェックしてみてくださいね。
ライブステージパフォーマンスの練習
普段:実際にギターを弾きながら練習する
ご紹介したパフォーマンスは、「顔を上げる」とか「手を挙げる」とか「歩く」とか、動作としてはシンプルなものばかりです。
しかし、実際にギターを持って、演奏しながらやるとなると、勝手が違います。
意外とやりにくいです。
パフォーマンスは、本番ノリで突然できるものではないので、演奏と同様、練習しておく必要があります。
ふだんは「姿勢よく弾く練習」、「ノリノリで弾く練習」、「弾きながら歩く練習」などをやります(エクササイズにもなります)。
大きい鏡の前で練習すると、更に効果的です。
ライブ前:ひとりリハーサル、スタジオ練習
そして、ライブ前には、「この曲のこの部分でこう動く」というところまで決めておき、パフォーマンスも含めた「ひとりリハーサル」を繰り返します。
もし他のメンバーの所に移動して弾くとか、誰かを巻き込むことを考えている場合は、ちゃんとあらかじめ相談してくださいね。
そうでないと、びっくりされます(笑)。
ライブの前にバンドメンバーで集まってスタジオ練習をする時は、ただ演奏して音を確認するだけでなく、パフォーマンスも一緒に練習しましょう。
ライブ本番の経験から学ぶ
ライブ本番では、パフォーマンスを必ず実行
本番では、あらかじめ練習していったパフォーマンスを、ちゃんと実行します。
初めは恥ずかしいかもしれませんが、何もやらないより、いろいろやった方がずっとかっこいいです。
そして、練習していったものを本番で出すことにより、確実に成長できます。
ぜひやりましょう。
ボーカリストの友達は、ライブの前に「他のメンバーに絡むのをやってみたいんだよね」などといって、本番ちゃんと絡みます。
毎回何か新しいことに挑戦して、ライブのたびに表現の幅を広げています。
前もって練習していったことのほかに、その場で何かに挑戦できそうだったら、それもぜひやってみましょう。
ライブの様子は撮影、確認する
ライブの様子は、全部撮影し、後で確認します。
私のように失敗だらけかもしれませんが、失敗は次のライブに活かせるので、貴重な体験です。
たくさんのことを学べます。
かっこよくできたところは、大いに喜びましょう!
ライブに出てパフォーマンスに挑戦し、ギタリストとしての経験を積んでいこう
私が入っている地元の音楽サークルでは、初心者でも1曲演奏できればライブに出ています(もちろん希望者のみ)。
ライブは、初心者から上級者まで、誰でも楽しめるものです。
ぜひライブに出て、演奏、パフォーマンス等、新しいことにどんどん挑戦しましょう!
衣装もバッチリ決めて、かっこいいギタリストを目指しつつ、楽しみながら、経験を積んでいきましょう!
ライブ出演までにやることリストについては、こちらでご紹介しております。
最後まで読んでいただきありがとうございます。